建設業許可の申請

建設業許可で工事できる請負金額の上限は?特定建設業許可への以降は可能?

建設業許可を受けると、受けていない事業者よりも大きな規模の建設工事を請け負うことができるようになります。

ただし、建設業許可の種類は一般建設業許可と特定建設業許可の2種類あり、それぞれで扱える工事の規模や請負金額が異なるため、注意が必要です。

本記事では、建設業許可を取得すると扱えるようになる請負金額の範囲、建設業許可申請時に必要な費用などについて解説します。

建設業許可を受けている事業者が扱える請負金額の上限

ここでは、①一般建設業許可を取得した事業者、②特定建設業許可を取得した事業者、③建設業許可を受けていない事業者の3パターンに分類し、それぞれの事業者が工事できる請負金額の上限について解説します。

①一般建設業許可を受けた事業者

一般建設業許可を受けた事業者は、下請け契約の一部例外を除いたあらゆる工事の請負が可能になります。

工事の請負契約に関する金額的な制限がないため、大きな規模の工事も受けることができます。しかし、自社の人材リソースやノウハウだけで請け負った工事すべてを完成させることが難しのであれば、結果的に下請け業者へ工事の一部を発注することになるでしょう。

自社が下請けとして元請から仕事をもらうだけで、自社が下請け発注をしない事業形態であれば、一般建設業許可のみでも業務に支障はありません。

一方、自社が元請けとして下請けに発注を行う場合は、特定建設業許可を取得する必要が出てくるかもしれません。

②特定建設業許可を受けた事業者

特定建設業許可を取得している事業者は、元請けとして受注した工事のうち、総額で4000万円(建築一式工事の場合は6000万円)以上の工事を下請業者に対して発注することが可能です。

この発注は一般建設業許可を取得していても行うことはできないため、下請け発注をする事業者は取得を考えましょう。

言い換えると、特定建設業許可を取得すれば、工事の規模や請負金額による制限を受けることなく仕事をすることができるようになります。

③建設業許可を受けていない事業者

建設業許可を受けていない事業者は、法律の「軽微な工事」と定義される建設工事のみを請け負うことが可能です。

ここで言う「軽微な工事」とは、500万円未満の工事(建築一式工事の場合は1500万円未満)のことを指します。

500万円以上の工事を受注するためには、一般建設業許可か特定建設業許可のいずれかを取得しなければなりません。

建設業許可に必要な費用

では、建設業許可を取得する際に必要な費用はどのように設定されているのでしょうか。必要書類とあわせて解説します。

法人が建設業許可を新規で取得する場合の費用

法人が建設業許可を新規で取得しようとする場合、以下の書類とそれに必要な費用がかかります。

許可手数料(証紙代)90,000円
登記されていないことの証明書   300円
身分証明書   300円~600円
登記事項証明書(商業登記)   600円
不動産登記簿   600円
納税証明書   400円

ただし、身分証明書は管轄の市区町村によって金額がそれぞれ異なります。また、不動産登記簿については、事業者が営業所の建物を所有している場合にのみ必要になります。

法人の場合、これらを合計して10万円以下の費用となります。

個人事業主(一人親方)が建設業許可を新規で取得する場合の費用

個人事業主、言われる一人親方が新規で建設業許可を取得しようとする場合、以下の書類と費用がそれぞれ必要になります。

許可手数料(証紙代)90,000円
登記されていないことの証明書   300円
身分証明書   300円~600円
不動産登記簿   600円
納税証明書   400円

基本的には法人の場合と必要書類は変わりありませんが、個人事業主なので登記事項証明書(商業登記)を揃える必要はありません。

個人事業主の場合でも9万円の手数料が発生するため、場合によっては痛い出費となりますが、その分仕事の幅が広がるため、必要経費と考えましょう。

一般建設業許可から特定建設業許可へ移行したい場合

下請けへの発注をしない場合は一般建設業許可だけでも事業を営むことが可能ですが、事業規模が大きくなり元請けとして別会社に発注を行う必要が出てきた場合、一般建設業許可から特定建設業許可へと移行する必要が出てきます。

ここでは、特定建設業許可へ移行が必要なケースや移行手続きについて解説します。

特定建設業許可へ移行が必要なケース

発注者から直接工事を請け負っており、4,000万円以上(建築一式工事の場合は6,000万円以上)の工事を他の事業者に下請契約として発注したい場合、特定建設業の許可を受ける必要が出てきます。

注意しなければならないのは、「発注者」とは建設工事を注文する者のことであり、他の者から建設工事を請け負っていない事業者のことを指す点です。

つまり、元請業者から工事を一部請け負い施工する下請業者が、上限金額以上を他の事業者と下請契約する場合、特定建設業の許可は必要ありません。混同されがちな点ですので、間違いのないようにしましょう。

一般建設業許可から特定建設業許可への移行手続きの手順

一般建設業許可から特定建設業許可への移行を行政書士に依頼した場合の手順は、一般的に以下の通りです。

  1. 現状確認・ヒアリングの実施
  2. 申請スケジュールと必要書類リストを作成
  3. 身分証明書など申請に必要な書類の収集
  4. 建設業許可申請書類の収集
  5. 該当する営業所の写真撮影(外観や内部)
  6. 申請内容の確認と作成した書類への押印
  7. 特定建設業許可申請書類を都道府県に提出
  8. 修正等があった場合その都度対応
  9. 許可取得とその後の対応の説明
  10. 建設業許可票の手配
  11. アフターフォロー

まず、事業者が本当に特定建設業許可が必要なのか条件や現状を確認するため、行政書士はヒアリングを実施します。

その後、申請スケジュールを提示し、必要書類のリストを作成、事業者とリストを確認します。

特定建設業許可の申請に必要な書類の収集と同時に、特定建設業許可申請書類を集め、営業所の外観などを写真撮影します。

必要な書類や写真が集まったら、申請内容を確認し、書類に押印して都道府県に提出します。

また、行政書士は許可の取得だけではなく、その後の建設業許可票の手配や決算変更届提出時期の定期連絡なども行い、きめ細かなアフターフォローも可能です。

特に、建設業許可は定期的に更新する必要があるため、行政書士と長期的な付き合いをしていれば、社内の担当者が変わっても継続的に支援を受けることができます。

建設業許の取得手続きは煩雑であり、移行手続きを自社、個人事業主の場合は自分ひとりで行うことはかなりの手間がかかります。

アフターフォローも含めて行政書士に代行してもらうことをおすすめします。

建設業許可取得までに必要な期間

行政書士に依頼するには、まず無料相談を行い、その後面談、見積もり、正式契約、業務着手という流れで依頼が進行します。

建設業許可の取得を行政書士に依頼した場合、依頼者の書類の準備状況にもよりますが、大体依頼から1週間~2週間以内に申請が完了します。

その後、申請からおよそ30日間程度で許可を取得することができます。

ただし、申請書類に不備があったり、添付書類の不足があれば再提出を求められ、許可までに期間は長引きます。

行政書士に依頼する場合は、まず自社である程度書類を集めてから依頼するか、無料相談の段階でどのような手続きや書類の収集が必要なのか聞いておくと良いでしょう。

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