下請負人から工事が完成した旨の連絡を受けた時、たまたま忙しかったりして担当の人間が対応出来なかったりして少し待ってもらいたい場合、いつまでに検査をすれば良いのでしょうか。今回は検査の期限について解説していきたいと思います。
下請負人からの完成通知と引渡し申出
下請負人は請け負った工事が完成すると、元請負人に工事の「完成通知」を行います。この完成通知は、下請負人から工事が完成した旨を知らせるものにすぎません。そのため、元請負人は下請負人から工事完成通知を受けると「検査」を行うこととなります。元請負人の完成検査で下請負人が行った工事に問題が無いとされると、次に下請負人は完成した工事の「引渡し申出」を行うことができます。
工事が完成した際も工事の引渡しを行う際も、いずれも下請負人から元請負人へ通知しなければなりません。これらの通知は口頭で行っても良いこととされていますが、後日の紛争の原因とならないように、書面で行うことが望ましいとされています。
完成通知を受けてから検査を行うまでのルール
下請負人から完成通知を受けてから元請負人の検査がなかなか行われないと、下請負人はいつまでも目的物の引渡しを行うことができず、その結果、元請負人からの支払いが遅れてしまうことにもなります。そのようなことが無いよう、建設業法では元請負人が検査を行うタイミングについて明確に規定しています。
元請負人は下請負人から完成の通知を受けてから、20日以内で、できる限り短い期間内に検査を行わなければなりません。
(検査)
第二十四条の四 元請負人は、下請負人からその請け負った建設工事が完成した旨の通知を受けたときは、当該通知を受けた日から二十日以内で、かつ、できる限り短い期間内に、その完成を確認するための検査とかんりょう しなければならない。
建設業法
検査から工事の目的物引渡しまでのルール
元請負人による検査が建設業法の規定通りに行われたとしても、完成した工事の目的物を引き渡すことができなければ、引渡しまでの間、下請負人はその工事の目的物について保管責任や危険負担を負わされることになります。そのため、引渡しのタイミングについても建設業法で規定されています。
元請負人は下請工事の完成を確認した後、下請負人が申出たときは、ただちに完成した工事の目的物を引き受けなければなりません。
(引渡し)
第二十四条の四
2 元請負人は、前項の検査によつて建設工事の完成を確認した後、下請負人が申し出たときは、直ちに当該建設工事の目的物の引渡しいを受けなければならない。ただし、下請契約において定められた工事完成の時期から二十日を経過した以前の一定の日に引渡しを受ける旨の特約がされている場合には、この限りではない。
建設業法