建設業許可の申請

建設業の許可の区分

建設業の許可を取得するといっても建設業の区分によって許可の取得は異なります。建設業の許可は大きく3つの観点で区分されるものがあり、今回はその建設業の許可の3区分についてわかりやすく一覧にして解説していきます。

①営業所の所在地による許可の区分(都道府県知事許可・国土交通大臣許可)

建築業では営業所の所在地によって許可を出す主体が異なります。基本的には営業所の所在地の都道府県知事許可を取得しますが、二以上の都道府県に営業所がある場合、国土交通大臣許可となります。

ここでいうところの「営業所」とは、本店または支店もしくは常時建設工事の請負契約を締結する事務所をいいます。また、これら以外であっても、他の営業所に対して請負契約に関する指導監督を行うなど、建設業に係る営業に実質的に関与する場合も、ここでいう営業所には該当しません。ですので会社としての本店・支店・営業所といった呼称に関わらず、実質的に建設業に関する請負契約を締結することに関与しているかどうかが重要なので注意が必要です。

②請負の形態による許可の区分(一般建設業許可・特定建設業許可)

2つ目の区分は請負の形態による許可の違いで、建設業許可は「一般建設業許可」と「特定建設業許可」に区分されています。

この一般建設業許可と特定建設業許可はそれぞれの業種ごとに取得することになります。そのため、業種ごとに一般と特定を分けて取得することも可能です。一方で、同一の業種について一般と特定の許可を同時に取得することは出来ないのでどちらの許可を取得するのが良いのか業種ごとに判断して取得していくことが重要です。

特定建設業許可

発注者から直接に請け負った1件の元請工事について、総額4,000万円以上(建築一式工事の場合は6,000万円以上)となる工事を下請に発注して工事の施工を行っていく場合には、特定建設業許可を取得しておく必要があります。

この趣旨としては下請に発注を行うような建設業者の場合、その建設業者が建設中に倒産してしまったりしたら下請の建設業者も連鎖倒産してしまったり、金額の大きな下請の発注を行う工事の元請を行う建設業者が十分な技術力が無い場合、適正に工事を施工できないことから、特定建設業許可は次に挙げる一般建設業許可よりも要件が厳しくなっています。

一般建設業許可

特定建設業許可に該当しない場合は、一般建設業許可を取得する形で建築業を行えます。

発注者からの請負金額については一般・特定の両方で制限はありません。

発注者から直接請け負った元請工事でなければ下請に発注する金額にも制限はなく、例えば1次下請から2次下請に工事を発注する場合にも一般建設業許可で問題無く出来ます。特定建設業許可が必要となるのは発注者から最初に受注する元請の業者に限られるため、他の建設業者からの下請を基本として施工を行っている業者については該当しません。

③建設業の29業種の区分

建設工事は29種の業種に区分されていて、定められた29業種の中から請け負う建設工事の種類に応じた許可を取得する必要があります。

この29業種のうち、「土木一式工事」と「建築一式工事」の2種類の一式工事は、ほかの27種類の専門工事と異なり、大規模または複雑な工事を、元請業者の立場で総合的に管理する事業者向けの許可となっています。

一式工事の許可を受けると、該当する専門工事の許可を取得していなくても、他の専門工事の許可を受けた下請の建設業者にその施工を発注することで、工事を行うことが出来ますが、その専門工事を単独で請け負う場合には、該当する専門工事の許可を別に取得しておかなければ無許可の工事施工となってしまいますので注意が必要です。

3-1. 土木一式工事

  • 内容:総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物を建設する工事

3-2. 建築一式工事

  • 内容:総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事

3-3. 土木工事

  • 内容:木材の加工又は取付けにより工作物を築造し、又は工作物に木製設備を取付ける工事
  • 例示:大工工事、型枠工事、造作工事

3-4. 左官工事

  • 内容:工作物に壁土、モルタル、漆くい、ブラスター、繊維等をこて塗り、吹付け、又ははり付ける工事
  • 例示:左官工事、モルタル工事、モルタル防止工事、吹付け工事、とぎ出し工事、洗い出し工事

3-5. とび・土工・コンクリート工事

  • (イ)の内容:足場の組立て、機械器具・建設資材等の重量物のクレーン等による運搬設置、鉄骨等の組立て等を行う工事
  • (イ)の例示:左官工事、モルタル工事、モルタル防止工事、吹付け工事、とぎ出し工事、洗い出し工事
  • (ロ)の内容:くい打ち、くい抜き及び場所打ぐいを行う工事
  • (ロ)の例示:くい工事、くい打ち工事、くい抜き工事、場所打ぐい工事
  • (ハ)の内容:土砂等の掘削、盛上げ、締固め等を行う工事
  • (ハ)の例示:土工事、堀削工事、根切り工事、発破工事、盛土工事
  • (ニ)の内容:コンクリートにより工作物を築造する工事
  • (ニ)の例示:コンクリート工事、コンクリート打設工事、コンクリート圧送工事、プレストレストコンクリート工事
  • (ホ)の内容:その他基礎的ないしは準備的工事
  • (ホ)の例示:地すべり防止工事、地盤改良工事、ボーリンググラウト工事、土留め工事、仮締切り工事、吹付け工事、法面保護工事、道路付属物設置工事、屋外広告物設置工事、捨石工事、外構工事、はつり工事、切断穿孔工事、アンカー工事、あと施工アンカー工事、潜水工事

3-6. 石工事

  • 内容:石材(石材に類似のコンクリートブロック及び擬石を含む。)の加工又は積方により工作物により工作物を築造し、又は工作物に石材を取付ける工事
  • 例示:石積み(張り)工事、コンクリートブロック積み(張り)工事

3-7. 屋根工事

  • 内容:瓦、ストレート、金属薄板等により屋根をふく工事
  • 例示:屋根ふき工事

3-8. 電気工事

  • 内容:発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事
  • 例示:発電設備工事、送配電線設備、引込線工事、変電設備工事、構内電気設備(非常用電気設備を含む。)工事、照明設備工事、電車線工事、信号設備工事、ネオン装置工事

3-9. 管工事

  • 内容:冷暖房、冷凍冷蔵、空気調和、給排水、衛星等のための設備を設置し、又は金属製等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気等を送配するための設備を設置する工事
  • 例示:冷暖房設備工事、冷凍冷蔵設備工事、空気調和設備工事、給排水・給湯設備工事、厨房設備工事、衛生設備工事、浄化槽工事、水洗便所設備工事、ガス管配管工事、ダクト工事、管内更生工事

3-10. タイル・れんが・ブロック工事

  • 内容:れんが、コンクリートブロック等により工作物を築造し、又は工作物にれんが、コンクリートブロック、タイル等を取付け、又ははり付ける工事
  • 例示:コンクリートブロック積み(張り)工事、レンガ積み(張り)工事、タイル張り工事、築炉工事、ストレート張り工事、サイディング工事

3-11. 鋼構造物工事

  • 内容:形鋼、鋼板等の鋼材の加工又は組立てにより工作物を築造する工事
  • 例示:鉄骨工事、橋梁工事、鉄塔工事、石油、ガス等の貯蔵用タンク設置工事、屋外広告工事、閘門、水門等の門扉設置工事

3-12. 鉄筋工事

  • 内容:棒鋼等の鋼材を加工し、接合し、又は組立てる工事
  • 例示:鉄筋加工組立て工事、鉄筋継手工事

3-13. 鋪装工事

  • 内容:道路等の地盤面をアスファルト、コンクリート、砂、砂利、砕石等により鋪装する工事
  • 例示:アスファルト舗装工事、コンクリート鋪装工事、ブロック鋪装工事、路盤築造工事

3-14. しゆんせつ工事

  • 内容:河川、港湾等の水底をしゆんせつする工事
  • 例示:しゆんせつ工事

3-15. 板金工事

  • 内容:金属薄板等を加工して工作物を取付け、又は工作物に金属製等の付属物を取付ける工事
  • 例示:板金加工取付け工事、建築板金工事

3-16. ガラス工事

  • 内容:工作物にガラスを加工して取付ける工事
  • 例示:ガラス加工取付け工事、ガラスフィルム工事

3-17. 塗装工事

  • 内容:塗料、塗材等を工作物に吹付け、又ははり付ける工事
  • 例示:塗装工事、溶射工事、ライニング工事、布張り仕上工事、鋼構造塗装工事、路面標示工事

3-18. 防水工事

  • 内容:アスファルト、モルタル、シーリング材等によって防水を行う工事
  • 例示:アスファルト防水工事、モルタル防水工事、シーリング工事、塗膜防水工事、シート防水工事、注入防水工事

3-19. 内装仕上工事

  • 内容:木材、石膏ボード、吸音板、壁紙、たたみ、ビニール床タイル、カーペット、ふすま等を用いて建築物の内装仕上げを行う工事
  • 例示:インテリア工事、天井仕上工事、壁張り工事、内装間仕切り工事、床仕上工事、たたみ工事、ふすま工事、家具工事、防音工事

3-20. 機械器具設置工事

  • 内容:機械器具の組立て等により工作物を建設し、又は工作物に機械器具を取付ける工事
  • 例示:プラント設備工事、運搬機器設置工事、内燃力発電設備工事、集塵機器設置工事、給排気機器設置工事、揚排水機器設置工事、ダム用仮設備工事、遊技施設設置工事、舞台装置設置工事、サイロ設置工事、立体駐車設備工事

3-21. 熱絶縁工事

  • 内容:工作物又は工作物の設備を熱絶縁する工事
  • 例示:冷暖房設備、冷凍冷蔵設備、動力設備又は燃料工業、化学工業等の設備の熱絶縁工事、ウレタン吹付け断熱工事

3-22. 電気通信工事

  • 内容:有線電気通信設備、無線電気通信設備、ネットワーク設備、情報設備、放送機械設備等の電気通信設備を設置する工事
  • 例示:有線電気通信設備工事、無線電気通信設備工事、データ通信設備工事、情報処理設備工事、情報収集設備工事、情報表示設備工事、放送機械設備工事、TV電波障害防除設備工事

3-23. 造園工事

  • 内容:整地、樹木の植栽、景石のすえ付け等により庭園、公園、緑地等の苑地を築造し、道路、建築物の屋上等を緑化し、又は植生を復元する工事
  • 例示:植栽工事、地被工事、景石工事、地ごしらえ工事、公園設備工事、広場工事、園路工事、水景工事、屋上等緑化工事、緑地育成工事

3-24. さく井工事

  • 内容:さく井機械等を用いてさく孔、さく井を行う工事又はこれらの工事に伴う揚水設備設置等を行う工事
  • 例示:さく井工事、観測井工事、還元井工事、温泉掘削工事、井戸築造工事、さく孔工事、石油掘削工事、天然ガス掘削工事、揚水設備工事

3-25. 建具工事

  • 内容:工作物に木製又は金属製の建具等を取付ける工事
  • 例示:金属製建具取付け工事、サッシ取付け工事、金属製カーテンウォール取付け工事、シャッター取付け工事、自動ドアー取付け工事、木製建具取付け工事、ふすま工事

3-26. 水道施設工事

  • 内容:上水道、工業用水道等のための取水、配水等の施設を築造する工事又は公共下水若しくは流域下水道の処理設備を設置する工事
  • 例示:取水施設工事、浄水施設工事、配水施設工事、下水処理設備工事

3-27. 消防施設工事

  • 内容:火災警報設備、消防設備、避難設備若しくは消化活動に必要な設備を設置し、又は工作物に取付ける工事
  • 例示:屋内消化栓設置工事、スプリンクラー設置工事、水噴霧、泡、不燃性ガス、蒸発性液体又は粉末にいよる消火設備工事、屋外消火栓設置工事、動力消防ポンプ設置工事、火災報知設備工事、漏電火災警報機器設置工事、非常警報設備工事、金属製避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋又は排煙設備の設置工事

3-28. 清掃施設工事

  • 内容:し尿処理施設又はごみ処理施設を設置する工事
  • 例示:ごみ処理施設工事、し尿処理施設工事

3-29. 解体工事

  • 内容:工作物の海外を行う工事
  • 例示:工作物解体工事

建設業許可は正しく区分を理解して取得することが重要です。

是非この機械に確認してみて下さい。

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